日本の伝統的な印影文化から誕生したフレグランスブランド、EDIT(h)(エディット)。
その独創的なラインナップの中でも、
ひときわ静謐で、文学的な情景を感じさせる香りが
**「Jardin de Mots(ジャルダン デ モウ)」**です。
日本語で「言葉の庭」を意味するこの香水は、優雅にに語るのではなく、
沈黙の中に美しさを見出すような不思議な魅力に満ちています。
今回は、纏うたびに背筋が伸びるような、この繊細な香りの世界を紐解いていきます。
こちらの記事では実際にジャルダンデモウを試した感想からおすすめの人、
購入できる場所、など徹底的に解説していきます。

昨年新宿伊勢丹のサロンドパルファンで素晴らしいセットを購入し
こちらで試してレビューしています。
著者について

香水を含む美容業界に20年以上いながら
奥深い香りの世界に魅了され、フレグランスエキスパートの資格を取得。
1000人以上の方に香水選びのカウンセリングを実施してきました。
また、自分自身でもお試しサイズも含め200種類以上の香水を購入し
実際に試した感覚をもとに記事を書いています。
ジャルダンデモウ基本情報

発売年:2021年
香りの種類:オードパルファム
サイズ:50ml
価格:¥22000(2025年12月時点)
香りの系統:グリーン、フローラル、モッシー
対象:ユニセックス
ジャルダンデモウどんな匂い?香り解説
スプレーして広がるのは藤の花やすみれを想起する日本の庭園。
しっかり整備されている庭園ではなく、あえて手を入れすぎていない植物の息遣いが聞こえてくるような
ナチュラルさを感じる庭園。

3分ほどすると光を透過させるような薄さの淡いグリーンの葉が揺れるように顔をみせます。
その葉が風に揺れる気配を感じたかと思うと、香りの輪郭はゆっくりと白い花びらの質感へと溶け込んでいきます。
この移ろいは、決して極端な変化ではありません。
しかし、その**「儚さ」**こそが、この香水の真骨頂です。 消えてしまいそうなほど繊細なのに、心の奥底に深く、強く刻み込まれる。
圧倒的な余韻を残すその香りは、まさに「言葉(Mots)」が心に波紋を広げていく過程によく似ています。
忙しい日々の中でも、お気に入りの茶器でお茶を淹れたり、季節の移ろいに目を向けたり。そんな日常の些細な所作を大切にしたくなる、凛とした空気がこの香水には宿っています。
派手に自分を主張するための香りではなく、
自分の内面を整え、大切な記憶を慈しむための香り。
そうした「静かな強さ」を持つ人によく似合います。
繊細で儚い存在が圧倒的に記憶へ残るような深い印象を感じさせます。

香りの設計図:Jardin de Mots のピラミッド
ジャルダン デ モウの香りの移ろいを、ノート(香料)の構成から見ていきましょう。一見すると爽やかな構成ですが、肌の上で体温と混ざり合うことで、言葉にできないほどの深みが生まれます。
| フェーズ | 主要ノート | 筆者が感じた「情景」 |
| TOP | マンダリン、ジンジャー、ガルバナム | 日本の庭園の幕開け 藤やすみれを思わせる、作り込まれすぎないナチュラルフローラル。 |
| MIDDLE | ローズ、ミュゲ、グリーンノート | 透き通る葉の揺らぎ 光に透ける薄いグリーンの葉が、ゆっくりと白い花びらへ移ろう。 |
| LAST | シダーウッド、サンダルウッド、ムスク、アンバー | 圧倒的な記憶の余韻 繊細な儚さが、温かみのあるウッ ドと溶け合い、深い印象を残す。 |
成分から紐解く「儚さ」の正体
この香水の面白いところは、トップにあるガルバナム(苦みのあるグリーンの香り)とマンダリンが、私たちが抱く「藤の花」や「すみれ」の瑞々しさを、より写実的に引き立てている点です。
また、ラストの**サンダルウッド(白檀)**は、EDIT(h)のルーツである「朱肉」や「和の静寂」を感じさせる要素。これが、単なるフローラルで終わらせず、「丁寧に暮らしている」というイメージの根幹を支えています。
おすすめの纏い方とシチュエーション

- 朝のルーティンに: 清潔なリネンのシャツにひと吹き。今日という一日を丁寧に過ごすためのスイッチになります。
- 和装や静かな空間に: 主張しすぎないため、お茶会や観劇、美術館巡りなど、静寂を愉しむシーンにも最適です。
- 大切な人との距離で: 近づいた時にだけふわりと漂う儚い香調は、相手の記憶にあなたの印象を深く残すはずです。
エディットの購入できる場所

直営店
・エディット神楽坂(13:00~23:30 / 定休: 月・火)
・エディット天神
百貨店・セレクトショップ
・伊勢丹新宿本館1階フレグランス売場
・東京ミッドタウン日比谷
・表参道ヒルズ
・阪急MEN’S TOKYO
・REAL Style各店舗
まとめ:記憶の断片を美しく彩る一瓶
EDIT(h)の「ジャルダン デ モウ」は、単なるフローラルグリーンの香水ではありません。それは、私たちが忘れかけていた**「日本の庭園に流れる穏やかな時間」や「言葉にできない繊細な感情」**を形にしたような存在です。
繊細で儚い、けれど圧倒的に記憶に残る。 そんな特別な香りと共に、日々の暮らしを丁寧に紡いでみませんか。
EDIT(h)の香り創りへの誇りを感じる逸品

「ジャルダン デ モウ」の香りを辿っていくと、
最後に行き着くのはEDIT(h)というメゾンが抱く、
香水創りへの静かな、しかし揺るぎない**「誇り」**です。
昨今のフレグランス市場では、
SNSで瞬く間に拡散されるような「分かりやすい甘さ」や、
万人受けを狙ったトレンドの香りが主流となっています。
しかし、EDIT(h)はその潮流に安易に乗ることはしません。
売上や流行を追うための量産ではなく、あくまで自らの哲学に基づいた創作を貫いています。
その象徴とも言えるのが、
あえて今の時代にこの**「グリーンノート」**を深化させた点にあります。
かつてはクラシックの王道だったグリーン系も、
現代では難しい、稀少な部類に入りつつあります。
それをEDIT(h)は、単なる「植物の香り」で終わらせることなく、
肌の上でドラマチックに変化する芸術品へと昇華させました。
特筆すべきは、その丁寧な作り込みです。
シュッと纏った瞬間の鮮烈な立ち上がりから、時間が経つごとに奥行きを増していく緻密なストーリー。
周囲への配慮までかんじさせる品のある拡散性と、肌に溶けるように馴染み、
静かに余韻を残す計算し尽くされた「止まり方」。
その一滴一滴に、職人的なこだわりと美学が宿っています。
「ジャルダン デ モウ」は、単に「良い香り」を纏うための道具ではありません。
妥協のないクリエイティビティを信じ、独自の道を歩むEDIT(h)の魂そのもの。
本物を知る大人にこそ、この気高きグリーンの余韻に浸ってほしい――そう心から願わされる逸品です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
その他のEDIT(h)の香水についてはコチラでご紹介しています
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